今から二十八年前、上の子供が二歳になった年のことでした。
主人は三人兄弟の末っ子で主人の実家では子供はみなひとり立ちしていました。
ちょうどその頃、私は下の子供を身ごもり妊娠三か月目でしたが流産の兆候が見られ、それを心配した義母が「部屋も空いているし、実家で一緒に住めばいい」と言ってくれました。
優しい義母で実の母のように慕っていたこともありすぐに引越しを検討。
二週間後には荷物も運びこみ、新たな生活がスタートしました。
医師には「なるべく安定するまでは安静を心掛けてください」と指示されていたので引っ越す前に話し合い、当面は義母が仕事帰りに夕食の材料を買って戻ってから一緒に夕食の準備をすることになっていたのです。
しかし、いつも家にいる義父は昔気質の人間で『嫁が家のことをするのは当たり前』といった風潮がありました。
もちろん、事情は前もって説明していたのですが寝たり起きたりする私が気に入らなかったらしくいつも不機嫌そうでした。
たまに義母が仕事から戻るのが遅くなり夕食の準備が遅れようものなら、ここぞとばかりにどなる始末。
何度かそんな場面に遭遇し、私への不満から義母に当たり散らす義父にとうとうキレてしまい口喧嘩へと発展……。
止めに入る義母は止まらないケンカにおろおろして泣き出してしまい……挙句がやってきた親族のおばちゃんが仲裁に入っておさまった次第です。
仕事の帰宅が遅い主人は事の真相を親族から聞き、どちらの見方もできないものの呆れた顔で私を見ていました。
それでも一度吐いたものは呑み込めず、その場にとどまることもできなくなって、その夜電話で片っ端から引っ越し業者を探しました。
無理を承知で翌日引っ越しを頼み込んで、運よく元いたマンションもまだ空いていたためすぐに再契約を交わし、次の昼には実家を後にしました。
一度は期待に胸ふくらませ引っ越したはずなのに、わずかの間に二度の引っ越し。
泣きながら引越しトラックを見送る義母の小さくなっていく姿に、残ったものは義母への申し訳なさと後味の悪い苦い思いばかりでした。
参考サイト:3月・4月の引越し費用の相場